在宅医療について

患者さんの心に、どこまで寄り添えるか。見えないものも届け続けたいから。

平群店/薬剤師・在宅コーディネーター烏野 和子

患者さんと医師との橋渡し役。それでいいと感じる。

私も在宅医療に接する毎日ですが、いつも薬剤師にできることは何か、と自問自答しています。
それは、患者さんと医師をつなぐ橋渡しをするということ。医師は絶対的な存在だし、看護婦だって医師に近すぎる。
そう感じる患者さんやご家族がおられるのはごく自然なことだと思います。
たとえば、お薬に対するご要望。患者さんは、思ったままの言葉を私にぶつけてきます。具体的に、あるいは感情的に。
それを私はそのまま医師に伝えます。それが次回の処方箋に反映されていたりすると、少しは私が役に立ったのかなと思います。

意思の疎通こそが、すべての安心の基礎となる。

患者さんが不安に感じたりするのはおそらく、医療側との意思の疎通がうまくいっていないことが大きいと感じるからです。
時々、患者さんから「なぜ、その薬がこれだけ必要なのか説明してくれ!」と求められることがあります。
そんな時私は、最初の経緯から説明します。なぜその順番で、その量と種類が必要なのかを。きちんと説明すれば、患者さんは理解してくださいます。それに、重複した薬を省くこともできます。

心の垣根を開き合う。その難局を越えて、届けたいもの。

私たちの救いは、患者さんたちから「ありがとう」と言われること。患者さんが亡くなられた後でもご家族からお礼を言われたりすると、そこに薬剤師としての存在意義を見いだすことができます。
しかし、薬剤師だって人間です。患者さんの家族構成が私の家族に近かったり、小児ガンのような場合は応援を頼む場合もあります。
自分が正しく対応できない場合、逆に患者さんを不安にさせてしまうからです。ただ言えるのは、患者さんの心にどこまで寄り添えるかということだと思います。困っていたら、手を貸すこと。心の垣根を自然に開き合い、在宅医療の質を高めていくこと。
大変難しいことですが、サン薬局の薬剤師として、見えないものもお届けていきたい。そう思います。