NPO法人褥瘡サミットの理事長を務めておられる 国立長寿医療研究センター
古田勝経先生による「褥瘡研修」にサン薬局より薬局長2名が参加いたしました。
NPO法人褥瘡サミットについてはこちら
NPO法人褥瘡サミットWEBサイト
~研修報告~
王寺駅前店西垣さんの研修に無理やり参加させていただき、国立長寿医療研究センター古田勝経先生の研究室で褥瘡研修をうけさせていただきました。
先生はとても気さくな方で、待ち合わせ場所を間違った私たちを笑顔で迎えに来てくださいました。
薬剤師のあり方が危機を迎えている。在宅に出ず薬局にこもっていると、薬局はただの調剤室になってしまう、との言葉にドキッとさせられ必死で先生の講義についていきました。
薬剤師のフィジカルアセスメントは医政局通知により要件を満たせば認められています。
褥瘡は治せる。医者と看護師だけで治療するより薬剤師が介入することで速く、費用も安く治せる可能性がでてきます。それだけ患者の負担は少なくてすみます。薬剤師は褥瘡を見ないといけません。在宅に出れば褥瘡に出会う機会は増えます。褥瘡を見ることができないようでは在宅に関わっているとは言えない、と熱く語られました。
ウレタンパットとエアマットの体圧分布で褥瘡の発症しやすい部位を確認しました。皮膚のずれ圧迫により骨とマットレスに挟まれた皮膚に骨の形が浮かび上がるようにして褥瘡は出来ます。高齢者は皮膚が加齢変化のためたるみがあり、ズレやすいそうです。私は、褥瘡は一度深くなると治らないもの、終末期で栄養状態が悪く完治は難しいと思っていました。
この病院ではアルブミン値が2以下でも完治している症例をたくさん写真で見ました。完治には患部の滲出液の量を見て薬剤の基剤を選ぶことが大切でその薬剤は薬剤師が選択しDrに提言します。患部の滲出液と薬剤が合っていないと円滑に肉芽形成されず、形成されても浮腫・感染・創縁の巻き込みなどが起こりきれいに治りません。医師や看護師だけでなく、薬剤師も創を見なさいと古田先生はおっしゃいました。
講義のあと、皮膚科Drの回診に同行させていただきました。
Drと古田先生、薬剤部の方、各階の看護師さんと一緒しました。Drが褥瘡部のフィルムを剥がすと滲出液があふれてくる患部、ポケットの奥に壊死がありヨードホルムガーゼのみが挿入してある患部、褥瘡かどうかわからずDrの判断をあおぐ患部、体調が悪く今は様子を見ながら治療のタイミングを待つ患部などいろいろな症例をみせていただきました。薬剤をたっぷりガーゼにのせて患部にいれフィルムで覆います。患部を保護するためのレストン、テーピング、逆ハート型のドレッシング材など薬剤だけでなく患部の状況に合わせて処置する薬剤師の現場を見学させていただきました。事前の講義との合致が確認できてとてもよい経験になりました。
回診終了後古田先生の研究室に戻り質問に答えていただきました。それぞれ気になったことに丁寧に答えていただき時間ぎりぎりまでお話を聞くことが出来ました。1対2の贅沢な研修でした。
在宅に行ったとき褥瘡部はDrか看護師が処置し薬剤師には手が出せない部分だと思い、処方された薬だけを届け患部や効果は見ることがありませんでした。わざわざ衣服を脱がせる勇気もありませんでした。まず往診や訪問看護と同行し創部を見ながら薬剤滞留や薬効評価から始めようと思っています。
反応性充血と褥瘡の発赤との簡単な見分け方は、患部を指で押して白くなるのは反応性充血、赤いままなのはⅠ度の褥瘡だそうです。
薬剤師が褥瘡をフィジカルアセスメントし適切な薬剤の使用法とともに効果的に作用する局所環境づくりにより患部が改善することで、薬剤師が医師・看護師に認められ在宅にもっとかかわりやすくなるのではないかと感じました。そのためにも今一度褥瘡について勉強しなおさなければならないと思っています。
サン薬局桜ヶ丘店 薬局長 山内理恵